おすすめドキュメンタリー:「今、父を殺しましたーある虐待少年の叫び」

映画、ドキュメンタリー

 こんにちは。今回は、Netflixで配信されているドキュメンタリー「今、父を殺しましたーある虐待少年の叫び」を紹介したいと思います。

 虐待という犯罪は、家庭内で行われ、それは特に子供にとっては一生をめちゃくちゃにする行為です。

 子供が良い人生を送っていくためにサポートしていくことが親の務めと考えるのが普通ですが、ときには怒りの矛先を子供に向けたり、子供を利用して生きていく親も少なからずいます。

 虐待というと暴力と考えがちですが、子供の人生を支配するという方法もあります。

 このドキュメンタリーでは、17歳のアンソニー・タンプレットという少年が、父親を殺害するという凶行に及んだことで、この少年の置かれた過酷な人生が明るみになりました。

 事件は、2019年6月3日、ルイジアナ州バトン・ルージュで起きました。17歳の少年アンソニーは、父親のバートに3発の銃弾を浴びせ、自ら911コールをしました。

 実際の911コールの音声からも聞き取れるように、アンソニーは、激情に駆られ、引き金を引いたというより、自分の身が危険だったためにやむを得なかったという自己防衛のための行動だったと一貫して主張しています。

 自らの父親を殺害してしまった事実にも関わらず、アンソニーは落ち着いており、何の感情も見せなかったことに周囲の関係者たちは驚きを隠せませんでした。

 しかも、一見普通に見える17歳のティーンの少年が父親を殺害したとなると、近所の人たちや学校関係者たちが騒ぎ立てそうなものですが、そういう騒ぎにはなりませんでした。なぜなら、アンソニーのことを知っている人がほとんどいなかったからです。

 ネタバレになってしまうので、この先は、ドキュメンタリーを見てほしいのですが、今回のようなネグレクト(育児放棄)と言われる虐待は、アンソニー本人に向けられた怒りや憎しみというより、夫婦間での問題が大きいように思います。

 今回は、アンソニーの父親であるバートと母親であるテレサの夫婦間トラブルから、バートがテレサに最も打撃を与えることをした結果、アンソニーが犠牲になってしまったのです。

 奪われた17年間をこれからどう埋めていくのか、アンソニーには、困難なことがたくさん待ち受けているとは言え、機能的な人間になるようなサポート体制が整えられているそうです。

 特異な事件ではあるものの、アメリカは、虐待や引きこもりなどのケースも個人の問題ではなく、社会問題として取り組んでいくという姿勢に関心します。

 助けを必要としている声なき声に耳を傾けていくということが大切なのだと思いました。

 余談ですが、このドキュメンタリーは、前回紹介した「ガール・イン・ザ・ピクチャー」の逆バージョンのようでもあります。また、ネグレクトによる虐待ということで、有名なシリアルキラーのジェフリー・ダーマーのケースに似ているなと思いました(個人的な意見です)。

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