こんにちは。今回は、ずっと見たかったのですが、怖くてなかなか見ることができなかったNetflixのドキュメンタリー映画「猫イジメに断固No!:虐待動画の犯人を追え」についての感想です。
動物虐待はとても残酷で、対象が動物であったとしても許されざる犯罪です。
対象が動物なので、犯罪にはならず虐待する人間は法的に罰せられることないまま、対象が小さなものから徐々に大きくなり、ついには人間に向けられる場合もあるので、放置してはいけない問題です。
この映画でも、最初は猫を殺す動画が投稿されたことで、それを見たネットユーザーたちは「こんな人間が野放しになっていては危険なので犯人を見つけて捕まえよう」ということでした。
動物愛護団体も$5,000ドルの懸賞金を懸け犯人をおびき出そうとしていました。
Facebookでは、犯人が2011年頃には特定されていたみたいです。
しかし、ネットユーザーたちが捕まえようとしていたのは、猫を虐待して殺すだけの人間ではなかったのです。
猫を虐待して殺すだけでも十分に危険な人間ですが、もっと危険な人間だったのです。
ドキュメンタリーの内容(ネタばれあり)
アメリカのラスベガスでカジノのデータアナリストをしているDeannaとロサンゼルスに住んでいるJohn Greenは、Facebookに投稿された動画に衝撃を受けます。
「1 boy 2 kittens」という動画に映っていたのは、2匹の子猫が圧縮袋に入れられ掃除機で圧縮されて窒息死する様子でした。
それからも、猫を虐待する動画が投稿され、インターネットオタクの二人はFacebookでグループを作って、犯人探しを始めます。
動画に映っている部屋のレイアウトや部屋に置かれた物や動画から聞こえる音などに焦点を絞って執念深く探していきます。
ある日、グループメンバーの一人からLuka Magnottaという名前の男の情報が寄せられます。
ネットで検索すると、すごい数のサイトがヒットします。
しかも、このLukaという男は、いろいろな国を飛び回っているらしく、いろいろな国で撮られたと思われる写真があります。
高級車に乗っている写真やモデル風の写真もたくさんあり、Deannaは「こんな人物が猫殺しをするわけがない」と肩を落とすのですが、Johnは「だまされてはいけない。よく写真を見てみろ。写真の顔と体が違う」と言い出します。
写真を良く見てみると、顔と体の肌のトーンが違っていたりするのです。
「合成だ!!!」。
ネット上でヒットするLukaの写真のほとんどが合成だったのです。
Jonhは、この怪しさ万歳のLukaという男について突き詰めて調べていきます。
ひとつひとつの画像からストリートビューを見て場所を特定していくという気が遠くなる作業です。
ついに、Lukaのいる場所を特定します。
トロントにいるということがわかり、トロント警察に掛けあいますが、警察の反応は「その場所にはLukaという人物が住んでいましたが、今はロシアのどこかにいます」。
チーン。。。。。
それから、男からの投稿は途絶えます。
グループメンバーも減っていき人々の関心が薄くなっていきつつありました。
そんなとき、男が動画を投稿しました。またもや、猫を殺す様子を写した動画です。
しかもパイソンという蛇に子猫が殺されるという残酷なものです。
この動画は、イギリスの新聞にも取り上げられました。
男の行動はエスカレートしていき、男の行動を知る人々の間では「この男はいつか人を殺す」のではないかと心配されていました。
そして、ある日、グループメンバーの一人からDeannaとJohnに一本の動画が送られてきます。
二人が探しているLukaが映っているというのです。
今度は、どんなひどい殺し方をしているのかと動画を見て、息を飲みます。
なんと、猫ではなく、人間を殺す動画(スナッフフィルム)だったのです。
ベッドに両手を縛り付けられてアイスピックで繰り返し刺される裸の男性が映っていました(鎮静剤で眠らされていたと思われます)。
「こんなことする人間はどんな人間なんだ?」二人はショックを受けます。
さらに、動画には犬の姿と鳴き声も映っています。
「ここに映っている犬はどうなったのか?」。犬の安否を心配しつつも素人の二人には、手に負えない事態になったので、トロント警察に任せることにしました。
しかしなんの反応もありません。
ニュースにもなりません。
そこで、DeannaとJohnは、YouTubeにアップされたLukaの新しい写真の背景から、Lukaが今どこにいるのかストリートビューで突き止めます。
モントリオールにいることがわかりました。素人のインターネットオタクにできることは本当にここまでです。
Jun Lin殺人事件
猫殺しの犯人探しが、殺人動画の犯人探しに急展開しました。
場所は、カナダのモントリオール。
あるアパートの裏庭にあるごみ捨て場に古いスーツケースが捨てられているのを清掃人が見つけました。
ひどい臭いがしたので、警察に通報します。
警察が到着し、スーツケースを開けてみると、手足と頭が切断され、刺された後が無数ある胴体が入っていました。
後に、切断された手と足はそれぞれ小学校や政府機関に送られています。
ここで、ようやく殺人事件がモントリオール警察により正式に公表されます。
遺体が捨てられていたゴミ捨て場には、血のついたブランケットや被害者の着ていたTシャツ、それに死んだ犬の遺体が入ったゴミ袋がありました(動画に映っていたあの犬だと思われます)。
しかも、Lukaの名前が記載された運転免許証や薬局のレシートも捨てられていました。
警察は、記載された名前の男が住んでいる家を捜索します。血痕が多数発見されました。この時点では、Lukaが被害者なのか、容疑者なのかはわかっていません。
切断された手足が発送された薬局の防犯カメラ映像からLukaが切断遺体を発送したことがわかり、容疑者と特定されます。
被害者は誰なのか?Lukaのアパートの防犯カメラの映像から、Lukaと一緒に映っているのが、Jun Linという33歳の中国人ということがわかりました。
エンジニアリングとコンピューターサイエンスを学ぶ大学生で、ゲイであることは、公にはしていなかったようです。
Linは、2012年5月24日を最後に姿がみえなくなりました。友人やバイト先の上司が連絡が取れないことを心配して行方不明届けが出されていました。
被害者がわかり、容疑者のLukaがどこにいるのか、捜索が行われます。
空港のカメラ映像から、Lukaがフランスのパリに逃走したことがわかりました。
インターポールによる捜索が続く中、今度はドイツのベルリンに逃走します。偶然立ち寄ったインターネットカフェの店員がニュースでLukaの顔を覚えていたため、通報し、そのままLukaは逮捕されます。
カナダで裁判にかけられたLukaは、Mannyという名の男に脅されていたと主張しましたが、Lukaの単独の犯行と断定されます。
犯行は認めたものの、精神病により責任能力がないとして無罪を主張しますが、退けられ、第一級殺人罪で有罪となりました。
ネット探偵のJohnは、猫虐待の動画を投稿して、JohnたちがLukaの存在を突き止めたときに、逮捕していれば、Linは死なずに済んだかもしれないと語っています(そのとき、トロント警察は、Luka Maghottaという人は、ロシアのどこかにいると言って取り合いませんでした)。
犯人のLuka Magnottaについて
犯人のLuka Magnottaは、潔癖症の母親と精神分裂病の父親の元に生まれました。
学校ではいじめられ、高校生の時には、ゲイポルノのビデオに出たり、ストリッパーやエスコートのバイトをしていたそうです。
何度も整形手術をしています。若いころから、偽名を何個も使い詐欺などの犯罪に手を染めていたようです。
前出のように、ネット上でLuka Magnottaの名前を検索すると、たくさんのページがヒットするのは、Lukaが自身を売り込むために様々なSNSで様々な人物になりすましていたからです。
警察の捜査で、Lukaは70のFacebookページと20のウェブサイトをそれぞれ違う名前で持っていたそうです。
写真も多くが合成だったそうです。マッチョな体に自分の顔を合成したりしていたので、逮捕されたとき実際にLukaを見た人は、思ったより小さかったと言っています。
映画好きだったため、ネット上で使っていた偽名や犯行そのものには好きな映画へのオマージュが込められていたと言われています。
例えば、Kirt Tramellという名前は、シャロン・ストーン主演の「氷の微笑」のシャロン演じるKatherin Tramellのイニシャルと同じ、犯行に使われたアイスピックも映画と同じ、シャロン演じるKatherinの暴力的な前のボーイフレンドの名前がMannyで同じ、取り調べでタバコを吸うのは、映画でKatherinが取り調べでたばこを吸うシーンをまねてたなどなど。
どこまで本当なのかはわかりませんが、本当なら相当なナルシストですね。
自分の欲望を満たすための犯行だったのなら、その闇は相当に深いですが、そんなもののために命を落とした人や猫がかわいそすぎます。
まとめ
Jun Lin事件は、外国では大きく取り上げられていたようですが、日本ではあまり取り上げられなかったように思います。
私は、この事件のことを少し知っていたので、まさか猫イジメの虐待動画のドキュメンタリーがこの事件につながるとは思いもしなかったので、驚きました!
動物虐待は、犯罪です。動物は、声を上げることができないので、SNS上でも取り締まりを強化して危険人物を早く特定できるようになればいいなと思います。
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