ある日会社に住み着いた猫の捕獲大作戦

猫との暮らし

 

 こんにちは。今回は、私が勤める会社に住み着いた野良猫の話です。私が住んでいる地域ではほとんど野良猫を見ることがないのですが、2019年の春頃から一匹の三毛猫が私が勤める会社に姿を見せるようになりました。

 耳の先っちょが三角にカットされている「さくら猫」だったので、誰かが捕獲をしてリリースした猫のようです。どこか、近所でエサやりをしている人がいるのかもしれないし、誰かが飼っている外猫かもしれないので、最初はうちの会社ではご飯やおやつをあげることもしませんでした。

野良猫にエサをあげるようになったら、最後まで面倒をみる覚悟を

 その野良猫は、会社に来る日もあれば、来ない日もありました。そのうち、たまに来る野良猫におやつやご飯をあげる人が出てきました。

 たまに来る猫がエサを求めて毎日来るようになりました。この時点でも、他でエサをもらっていた可能性はあるので、エサやりをしていた人は「あの猫、最近来なくなった」と心配していたかもしれませんが、猫はエサをもらえるし、会社の敷地内にいればいじわるする人もいないし、他の猫にいじめられることもないので、その場所を「自分の居場所」と決めてしまったようです。

 野良猫にエサやりをするということは最後まで面倒をみるという覚悟が必要です。幸いなことに、会社の同僚が引き取ってもいいと言ってくれていたので、会社の有志で、猫の捕獲までお世話をすることにしました。

 猫は会社の敷地内をテリトリーにしていたので、会社の猫として飼ってもよかったのですが、その時点で、翌年の11月に会社が移転することが決まっていたので、なんとしても捕獲しなければなりませんでした。

 毎日、エサやりをしていても、野良猫はそう簡単に私たちを信用することはありません。気長にお世話をしながら、捕獲のチャンスを待つことにしました。

野良猫よっちゃん

 私の役割は、朝晩のエサやりです。会社の人たちは猫を「みけちゃん」とか「みーちゃん」と呼んでいましたが、私は、その猫をひそかに「よっちゃん」と名付けました。

 名前の由来は、足が悪いらしくよたよたと歩いていたからです。

 会社の敷地内にあるプレハブの階段の下によっちゃんのエサ場を作ってもらいました。板で枠を作って雨をしのげるようにしてもらい、その中に、段ボールに緩衝材を敷いたベッドを置いたり冬用に発泡スチロールの箱に毛布を敷き詰めたベッドを置いたりしていました。

 会社の人たちが出入りする日中は、プレハブの裏で寝ていたりしましたが、朝晩、エサやりにいくとどこからか現れて私が準備するのを待っていて、私がいなくなるとエサに近づいていき食べていました。

 そんな姿を私は、よっちゃんに気づかれないように遠くからそっと見ていました。会社が休みの土日も夏休みも正月も会社に通いエサやりを続けました。

 外でのエサやりで注意しなければならないのは、エサの臭いを嗅ぎつけて、カラスが来るので、食べ終わったらすぐにお皿を片付けることです。

よっちゃんがいなくなる

 ある日、よっちゃんの姿が3日程見られないときがありました。2020年5月頃のことです。

 その週の月曜日の朝ご飯を食べ、日中、会社の駐車場で寝ている姿を確認していたのですが、火曜日の朝エサやりに行くと、エサはそのまま残っていました。手を付けた形跡がありません。エサの時間にも姿を現しません。エサを置いておきますが食べた形跡がやはりありません。水曜日にも来ません。木曜日になっても姿は見えません。

 事故にあったのか?誰かに連れ去られたのか?会社の中やプレハブに入ってしまって出られなくなっているのか?会社の中もプレハブの中も探しましたが、見つかりませんでした。

 猫はきまぐれなので、もっといい場所を見つけてそっちに移ったのかも。それならいいけど、可能性としては低いなと思っていました。

 時系列をたどってみると月曜日の夜によっちゃんの身に何かがあったことは確かです。悲しいことしか思い浮かばなかった私は、木曜日も仕事を終え帰ろうとプレハブの前を通りかかったときです。

 かすかに「猫の声が聞こえる!!」。空耳かもしれないけど、よっちゃんがいるのかもと、プレハブの窓のところを見ると、猫がいる!「よっちゃんがいる!」幻かもしれないので、プレハブのカギを取りに会社に戻って、プレハブに入ってみました。

 「よっちゃんがいた!」そこにはずっと探していたよっちゃんがいたのです!プレハブは、火曜日に入って探してみたのですが、そのときは隠れていたみたいです。

 警戒して奥からなかなか出てきません。棒でつついて外に出そうとしても出てきません。水を差しだすと、勢いよく飲みました。月曜日の夜から飲まず食わずだったのでしょう。

 猫は、「絶食状態が36時間(1日半)を過ぎると肝臓に脂肪がたまる脂肪肝(肝リピドーシス)という病気になるリスクが高まる」という記事を読んで心配になりましたが、急性の症状は出ていないようだし、水を飲んだので、すぐに死んでしまうとかいう問題はなさそうなので、とにかく外に出そうとしましたが、出てくれません。仕方がないので、エサと水をプレハブに置いて、その日は帰りました。
 

 翌金曜日の朝、出社すると、プレハブに置いたエサが食べてあったので、ほっとしましたが、まだ奥の方に隠れて出てきません。私が仕事中は、会社の許可をもらってプレハブの扉を開けっぱなしにしておいてもらいました。

 しかし、退社の時間になってもよっちゃんは出てきません。仕方がないので、その日もエサと水をプレハブの中に置いて帰りました。

 翌土曜日は、私は休みだったので、土曜出社する人に頼んで、プレハブの扉を開けっぱなしにしておいてもらい私は、家で待機していることにしました。

 朝、会社の人から「猫が無事にプレハブから出た!」と電話があり、ほっとしました。

 もうこれで大丈夫!

 その日も、エサやりに会社に行くと、よっちゃんは何もなかったかのようにご飯を待っていました。

 季節が初夏だったので、よかったです。夏に熱のこもるプレハブの中で3日も飲まず食わずだったらと思うとぞっとします。

 よく見かける野良猫が突然いなくなったら、どこかに閉じ込められているのかもしれないという可能性も考えてみてください。


捕獲の準備

 2020年も10月になり、タイムリミットが迫っています。

 よっちゃんは相変わらず警戒心が強く、素手で捕まえることは無理なので、捕獲機で捕獲することにしました。

 以前、お世話になったボランティアさんに捕獲機を貸してもらい、2020年10月22日に捕獲機を仕掛けることにしました。

 エサをあげずに、お腹を空かせて捕獲機に誘導する作戦です。

 久しぶりに捕獲機を使うので、うまく対処できるかわからなかったので、捕獲機に新聞紙を敷いてその上にまたたびをまいてよっちゃんがいつもいるプレハブと塀の間の隙間のところに置いておきました。

 捕獲機におびき寄せる食べ物は「からあげ」がいいと聞いていた(ほんとうかどうかは?)ので、近くのスーパーでからあげを買って、よっちゃんのご飯の時間の夕方頃に捕獲機に入れに行こうと考えていましたところ、事態は急展開し「猫が捕獲機に入ってます」とのこと。

 急いで見に行くと、よっちゃんが捕獲機に入っていました!「え?え?え?こんなに簡単なの?」ということであっさり捕獲成功!

その後のよっちゃん

 2020年10月22日、捕獲されたよっちゃんは、無事、会社の同僚のもとへ引き取られていきました。

 最初は、ケージに入れて様子を見ていたようですが、徐々に行動範囲を広めて、今ではお家のなかを自由に行き来しているようです。

 まだ、触ることはできないようですが、家猫として幸せに暮らしているようです。お家の中が元野良猫にとって幸せかどうかはわかりませんが、夏の暑さや冬の寒さからは解放されてよかったと思います。

 特に夏の暑さが心配だったので、かかりつけの獣医さんに大丈夫か聞いたことがありました。獣医さんが言うには、「暑さや寒さで命を落とすことも考えられるけれど、野良猫として生きてるんだからそれだけ強いんですよ」と言っていました。当たり前のことなんですが、妙に納得してしまいました。

 うちの子たちは、よっちゃんのようには外で生きていけないだろうなと思ったのです。みんな頑張って生きてる!


 





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