こんにちは。今回はAmazon PrimeやHuluでも視聴できるアメリカのメディアネットワークA&Eが作成した「シリアルキラー・プロファイルーアメリカ史上最狂の5人」を紹介したいと思います。
このドキュメンタリーは、シリアルキラーの中でも、特に有名な5人が、同時期に(1970年代後半がダブル)、犯行に及んでいたという衝撃の事実をつきとめ、5人がなぜ周りの誰にも気づかれることなく多くの犠牲者を毒牙にかけることが可能だったのかを検証していくというものです。
英語の題名は、「Invisible Monsters:Serial Killers in America」で、「見えないモンスターたち」ということになります。
題名の通り、このドキュメンタリーで取り上げられている5人のシリアルキラーたちは、見た目にはごく普通の人たちだったので、周りに警戒もされず、本当の姿を隠して生活していたのです。
5人がまわりの人々に気づかれることなく、犯行を行っていた1970年代という時代は、女性の権利拡大が叫ばれ、女性が強さをアピールして、ヒッチハイクをしたり、自由を求めて逃避行をしたりと、男女ともに良く言えば、人を疑うことを知らないような、悪く言えば、危機感の欠如したような背景がありました。
また、犯罪捜査の未熟さも犯人を野放しにしてしまった理由の一つでした。
いわゆる「快楽殺人」という概念のなかった当時、殺人を犯すのは、理由があると考えられていました。そのため、それまでは殺人事件が起こった周辺を洗っていくと、きっと犯人に行きつくというのが捜査の鉄則であり経験則でもあったので、接点もない被害者をランダムにターゲットにするというシリアルキラーの行動を把握していませんでした。
なので、人々にとって「快楽殺人」という概念があることを受け入れることさえ難しいのに、その犯人が逮捕されたとき、人々が思い描く犯人像と実際の犯人があまりにもかけ離れていたので、世間の衝撃は大きく、それはまたメディアにとっての格好のネタとなっていったのです。
このドキュメンタリーで取り上げられている最狂の5人とは、
シカゴで33人もの若い男性を毒牙にかけたジョン・ウェイン・ゲイシー(1972年~1978年)。
ワシントン州周辺で30人以上の若い女性を殺害したテッド・バンディ(1974年~1978年)。
カンザス州ウィチタという小さな町で、一家4人と若い女性を立て続けに殺害して、自らBTKと名乗って新聞社に犯行声明を送り付けたデニス・レイダー(1974年~1991年)。
ウィスコンシン州のミルウォーキーで、黒人やアジア人など性的マイノリティの男性17人をターゲットにしたジェフリー・ダーマー(1978年~1991年)。
ワシントン州シアトルのグリーン・リバー周辺に49人の遺体を捨てていたことから、「グリーン・リバー・キラー」と呼ばれたゲイリー・リッジウェイ(1982年~1984年)。
これらの5人を結びつける根拠は、決して、共通点があるからではないのです。
これらの5人を結びつける根拠は、快楽殺人を行う人間の幼少期などに焦点を当てることによって人間形成にどのような影響を与えたのかを知るためだったり、その犯行ごとの共通点を分析して関連性を見つけ出すことによって同一犯による犯行だということを知るためだったりするのです。
シリアルキラー自身やその犯行を分析することでプロファイリングや捜査技術を発展させ犯行を防ぐことに役立てようとしているのです。
しかし、なぜ、このような殺人犯(モンスター)が生まれてしまったのかという理由は誰にもはっきりとはわかりませんが、今、これらの5人のシリアルキラーが同じように犯行を犯すことは不可能な世の中だということは誰の目にも明らかです。
※十年くらい前にジェフリー・ダーマーの父親ライオネルが、息子ジェフリーについて書いた書籍「息子ジェフリー・ダーマーとの日々」(A Father’s Story)を読んだことがあります。父親ライオネルは、優秀な化学者ですが、ジェフリーの子育てには無関心で、精神的に不安定な妻に任せっきりだったと言われています。そのため、事件発覚時は、無責任な父親だと非難する人も多くいました。本の中では、息子ジェフリーにどうにか立ち直ってもらいたかったことと、贖罪の気持ちが書かれています。印象に残った箇所が、ジェフリーの事件を取材するテレビ局の記者に「あなたは、息子さんを許しますか?」と問われ、最初は、言葉に詰まっていたものの、最後には、「ああ、許すとも、しかし息子は私を許してくれるだろうか?」と自らに問うところです。
おすすめドキュメンタリー:「シリアルキラー・プロファイルーアメリカ史上最狂の5人」(2021年)
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