こんにちは。今回、紹介するのは、カナダの未解決事件に関するドキュメンタリー「ビバリー・スミス殺人事件の謎」(the unsolved murder of Beverly Lynn Smith)です。
このドキュメンタリーは、未解決事件に特有の杜撰で間違った警察の捜査に留まらず、「ミスタービッグ作戦」と呼ばれるカナダの警察が編み出した捜査手法が事件をいかに混乱させ、その捜査により冤罪の可能性も生み出してしまい、事件の真相から遠ざかってしまったかを描いています。
まずは、「ビバリー・スミス殺害事件」について見ていきましょう！
「ビバリー・スミス殺害事件」について
1974年12月に、カナダのオンタリオ州のオシュワという町で22歳のビバリー・リン・スミスが台所で後頭部を撃たれて息絶えているのが発見されました。
ビバリーは、夫のダグラスと10カ月の娘レベッカと古い小さな家で幸せに暮らしていましたが、その日は、夫のダグラスが夜勤のため、娘のレベッカと2人で夜を過ごしていました。
ダグラスは、夜勤の休憩時間に家に電話を入れましたが、誰も出ないため、向いに住むアラン・スミスの家に電話を入れ、家の様子を見てほしいと頼みました。
アランと妻のリンダが、ビバリーを訪ねると、何の反応もないため、アランは、ドアを壊して家に入るとビバリーの変わり果てた姿を発見したため、すぐに救急車と警察を呼びました。
娘のレベッカは無事で、争った様子はなく、モノも盗まれていなかったため、行きずりの犯行ではなく、顔見知りによる犯行が疑われました。
まず、疑われたのが、夫のダグラスで、犯行現場の家を捜索した警察が大量の大麻を発見しました。
実は、ダグラスは、大麻の売買に関与していたのです。
そのため、日頃から、多くの人が家を出入りしていたので、大麻関連の事件での捜査も行われました。
次に疑われたのが、第一発見者の隣人アラン・スミスでした。アランは、大麻の常習者で、ビバリーの家に大麻を買いに出入りをしていました。
こうして疑わしい者の取り調べが行われましたが、確たる証拠がなく、犯人逮捕には至らず、未解決事件（コールドケース）となってしまいました。
母親が殺害されたとき、10カ月の赤ん坊だった娘のレベッカは、母親のビバリーにそっくりな双子の姉妹のバーバラに母親の面影を求めて育ちました。
そして、そのバーバラは、他の姉妹以上にビバリー殺害事件の真相究明への思いは強く、あきらめずに警察に訴えかけ、ついに再捜査の道を切り開くことになりました。
その結果、この事件は、事件から30年以上経過した2008年とさらに40年経過した2014年に大きな展開を迎えることになります。
事件のキーパーソンは、アラン・スミス？
殺されたビバリーの双子の姉妹バーバラの執念が警察に通じ、2007年に警察が事件の再捜査を開始しますが、当時の容疑者を洗い出していくなかで、警察が目を向けたのが、事件の第一発見者で、隣人のアラン・スミスでした。
警察は、事件当時のアランの証言に矛盾を見つけたため、アランを警察に呼び出し、ポリグラフ検査にかけることにしました。
検査の結果は、黒。
また、当時、一緒にいた妻リンダの証言などからも容疑が固まり、事件から30年以上経過した2008年にアランは逮捕され、2009年から刑務所に入れられていましたが、5年後の2014年に、証拠不十分で釈放されてしまいました。
ビバリーの家族の落胆は大きかったのですが、釈放され自由の身となったアランも素直に喜ぶことはできなくなっていました。
なぜなら、カナダで大きく報じられた未解決事件の犯人として逮捕されたアランの元からは、家族も友人も妻さえも離れてしまっていたからです。
職も友人もない孤独なアランにとって、唯一の気晴らしは趣味の釣りでした。
あるとき、懸賞で当たった釣り旅行に参加すると、ダニーという男と意気投合して知り合いになりました。
そのときから、孤独なアランは、ダニーを友人として信頼しどんどん依存していきました。
ダニーという男は、悪いことにも手を出していて、ダニーに言われるまま犯罪に手を染めることさえ厭わないほどアランはダニーを信頼していました。
このダニーこそが、警察が仕掛けた「ミスタービッグ作戦」の仕掛け人だということも知らずに。
この「ミスタービッグ作戦」については、ドキュメンタリーの中で、実際の会話の録音なども公開されています。
「ミスタービッグ作戦」は最終的に自白を促す作戦らしいですが、その自白がほんとうなのかウソなのかどうかを見抜くには、やはり物的証拠や状況証拠などが必要なのでした。
この事件は、再び、未解決となってしまうのか、それとも再びセンセーショナルな展開を迎えるのか、気になるところです。
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