ドキュメンタリー好きな性分としては、「実話を元にした」というふれこみにはすぐ飛びついてしまいます。そんな私にAmazon Primeがおすすめしてきたので、「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」と「永遠に僕のもの」を見てみました。
両作品とも実在する連続殺人犯をモデルにしています。
「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」のフリッツ・ホンカは、「醜い」殺人犯で、「永遠に僕のもの」のカルリートスは、「美しすぎる」殺人犯として描かれています。
醜いはともかくとして、殺人犯に「美しすぎる」とかの賞賛はありえないのですが、その犯した犯罪が世間に与えるインパクトが大きいほど、人々は、犯罪者の容姿や成育歴に興味が沸くのでしょう。
「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」2019年
映画は、ドイツとフランスの合作で、1970年代にフリッツ・ホンカという40代のアルコール中毒の男が、ドイツ・ハンブルグで4人の女性を殺害して、屋根裏の自分の部屋に隠していたという事件をモチーフにしています。
ターゲットとなる女性は、ホンカが、いかがわしい界隈にある行きつけの安酒場で見つけた浮浪者のような女性ばかりです。
悪臭がたちこめる汚部屋と化したボロアパートに住み、アルコール中毒で、醜い容姿をしたホンカを相手してくれるのは、その日暮らしの貧しい女性だけだったのです。
映画の内容は、かなり衝撃的で、見る人を選ぶ作品だと思うので、誰にでもおすすめはできませんが、映画を見終わった頃には、ホンカの犯した犯罪への嫌悪感とともに、そのあまりのポンコツぶりに、ホンカ自身に興味が沸いてきてしまいます。
しかも、映画ではモデルとなったフリッツ・ホンカの醜い容姿を強調して、実に汚く不気味な犯罪者の様子を描いていますが、演じている俳優(ヨナス・ダスラー)が、かなりのイケメンで特殊メークで20歳も年老いた醜い姿に変身しているということを頭に入れておくと、その不潔さや不気味さが少し軽減されるところがポイントかと思います。
Amazon Primeで視聴できます。
「永遠に僕のもの」2018年
2018年のアルゼンチン・スペインの合作で、1971年に11人を殺害した罪で逮捕された、カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチという男が犯した事件をモチーフにしています。
アルゼンチン史上、最も有名な犯罪者として名前が挙がるプッチですが、その犯罪の残虐性もさることながら、17歳という若さで「黒い天使」と呼ばれるほどの美しい容姿が人々の興味を惹きつけました。
映画の中では、プッチがモデルとなった主人公は、カルリートスという人物として描かれています。
「これだけの美しい容姿を持つ若い青年が、なぜ、これほどの残虐な犯罪をおかしたのか?」というギャップが、人々の野次馬的な好奇心をくすぐったのだと思いますが、そこにこそ、プッチが犯罪者になった理由があるのかもしれません。
人が犯罪を犯すのは、物質的にも精神的にも満たされないものがあるからと考えますが、プッチは、美しい容姿を持ち、家庭的にも恵まれていて、犯罪に走るような要素は見当たりませんでした。
しかし、映画でも描かれているとおり、プッチには「人のもの」という概念がなく「すべて自分のもの」という世界観から、窃盗を繰り返していました。
欲しいものを手にいれるためだけに、罪悪感もなく犯罪を繰り返していたのですが、人の心だけは手に入れることができなかったのかもしれません。
汚い場面も、血なまぐさい場面もないのですが、それゆえに青年の狂気が垣間見える不気味さが後味として残る映画だと思います。
カルリートス役を演じる、ロレンソ・フェロは納得の美しさですが、不謹慎ながら、実際のカルロスのイケメンぶりには驚きです。
Amazon Primeで視聴できます。
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