映画「ザ・ターニング」を理解するために

映画、ドキュメンタリー

 こんにちは。今回は、「ザ・ターニング」について、前回は、映画の内容がよくわからなかったので、一番印象に残ったマイルズ役のフィン・ウルフハードの話題に話が飛んでしまったので、これはいかんと、手掛かりを求めてNetflixの「ホーンティング・オブ・ブライマナー」を見て、さらに原作を読んでみました。

 「ザ・ターニング」も「ホーンティング・オブ・ブライマナー」も原作はヘンリー・ジェームスが1898年に発表した「ネジの回転」です。

 

ドラマシリーズ「ホーンティング・オブ・ブライマナー」2020年

 本シリーズは、2020年からNetflixで配信されています。

 全9話で、1話1話完成度が高く、一気見してしまうくらい面白いです。

 時代背景は、2000年代はじめです。

 あらすじは、

 アメリカから若い教師ダニがイギリスにわたり、住み込みの家庭教師の仕事を見つけます。

 ブライマナーの屋敷には両親を失ったばかりの兄妹マイルズとフローラ、家政婦、庭師、コックらがいてダニを迎え入れますが、やがて、不審な人影を見るようになったり、兄妹の謎めいた言動により、この屋敷にひそむ秘密を知ることとなります。

 というものです。


 このシリーズでは、映画では語られない、マイルズとフローラを取り巻く環境や家庭教師ダニの過去や屋敷にひそむ幽霊たちの悲しいストーリーが語られているので、映画「ザ・ターニング」を見て、がっかりしてしまった人におすすめです!

 


シリーズの最後、クレジットのところで使用されている曲が、また最高にいいです!

調べてみると、シェリル・クロウの ”I shall believe” という曲だそうです。




 

原作「ねじの回転」について

 100年以上前にヘンリー・ジェームスによって書かれた心理小説の名作として知られています。

 物語は、一人称「私」の視点でしか語られず、その主観的な語りに含まれないものは読者にはわからないというところから、読んだ人によって解釈の仕方が異なるのです。

 「ねじの回転」という題名は、原作では、物語の最初に、ある屋敷に宿泊した人々が一人ずつ怪談を語る場面で、「一ひねり利かせた話が聞きたい」という台詞からとられていて、


「幽霊話に子どもが登場することで話のねじにひとひねり加える効果があるというなら、子どもが二人になれば?」「二ひねりになるじゃないか!」というわけです。


 もう一つの効果として、幽霊という怪事件に「私」が立ち向かうときに、まともな人間性を働かせるために、ねじを回転させて、ひとひねりでも前へ進めるように、というものです。


 「ねじの回転」には「人を苦しませる」という意味があり、「ひどい状況下で、なおさら無理を強いること」という意味で使われるそうです。


 なので、原作では、語り手である「私」を苦しませる「二人の子供のうちの一人であるフローラ」(子供が二人だと、二ひねりになるから)と「幽霊」(反自然的なものなので、まともな人間性が働かなくなる)を追い出すことになるのです。
 

 

人によって解釈の仕方が違う

 原作が、一人称でしか語られないため、それが信用できるものなのかもわからないのです。

 そもそも、人によってものごとの受け取り方も違ってきたりするので。

 そこに、意地悪さや偏見なども加わっているのです。

 原作や映像作品において、人によって解釈が異なるところが、下記のようなところです。

「そもそも、幽霊はいたのか?」

 幽霊がいた、いないは、原作について論争が起きたくらいで、そもそも幽霊などは存在せず、語り手である家庭教師の妄想だとする批評もあったほどです。

 
 ・「幽霊は自分たちなのではないか?」

 実は、自分たちが幽霊なのではないか?との解釈もありますが、「ホーンティング・オブ・ブライマナー」で、フローラが「パパやママが死んで、自分も死ぬと思ったから、自分も死んでいて幽霊なのかと思ったけど、「死」を感じるのは、生きているからだとわかった」ということを言っています。
 
 ちなみに、ニコール・キッドマン主演の「アザーズ」も、この「ねじの回転」が元になっていると言われています。

 ・「主人公の家庭教師が精神的に混乱していて、幽霊にかこつけて子供たちを虐待しているのではないか?」

 原作では、最後に、家庭教師の手によりマイルズの息の根を止めるようなことが書かれていますし、映画「ザ・ターニング」の予告編では、首に絞められた跡があるマイルズが口からクモを吐き出したところで息を吹き返すようなシーンがあります。

まとめ

 映画「ザ・ターニング」に関しては、「ねじの回転」というベースに見る人の解釈をゆだねたところが大いにあるのかなと思いました。

 ハラハラドキドキさせるようないろいろな仕掛けをして恐怖をあおるような映像と登場人物の表情や言葉から何が起きているのかを読み取るしかありません。


 その点「ホーンティング・オブ・ブライマナー」は、語り手がいますし、登場人物も多いので、わかりやすいです。

 原作と映画とドラマシリーズに共通するところがあるとしたら、親を亡くした子供たちが親族からは見放され、家政婦や家庭教師に世話をされているがために、不安定さを抱えているという点でしょうか。

 原作の「ねじの回転」は、翻訳する人によっても言葉の一つ一つの解釈がそれぞれで、表現の仕方が違うので、読む人の数だけ解釈があると言われるほどなのです。

 映像作品だって、作る側の解釈がそれぞれなのだから、原作は同じといえども、まったく違う作品として見たほうがよさそうです。

 作品を解釈する手掛かりが隠されているかもしれないので、見比べてみるのもおすすめです。

 



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