私が崖っぷちになったときに読むと元気になる本①

独身一人

 こんにちは。今回は、私が日常に疲れて崖っぷちになったときに読むと元気になる本をご紹介したいと思います。


 実は、私は、コミュニケーション障害があり、仕事で人と関わることにとてもストレスを感じることがあります。

 パニック障害も抱えています。

 しかし、独身でしかも猫への責任もあるので、仕事を辞めるわけにはいきません。

 ストレスがピークに達し、仕事辞めたい病が襲ってきたとき(ブログのタイトルでもある「崖っぷち」になったとき)に、いつも助けられるのが、星野博美さんの本です。(猫がいれば大丈夫じゃないのかい!)

 星野さんの作品は、人を国や見た目などではなくて、ふれあいの中からキャッチしたことに視点を置いているので、心が軽くなるのかもしれません。

「転がる香港に苔は生えない」

 一番最初に、手にした星野博美さんの作品は、1996年8月より1998年10月まで返還を挟んで香港に滞在し、その時の体験を記した『転がる香港に苔は生えない』です。

 私自身と香港とのつながりは、ほとんど旅行者の域を出るものではなりませんが、妹が香港に住んでいたので、数回訪れたことがあります。

 それまでは、アジアに抵抗感があった私なのですが、家族が生活をした香港という町がとても身近に感じられ、その混沌としている中にも人の素朴さやたくましさが自分の住んでいる日本にはないような気がして、日常に疲れてくると、そんな香港がとてもなつかしくなることがありました。

 この作品で語られるのは、返還前の激動の香港に生きる人々の迷いや不安や怒りあるいは新たな人生への夢です。

 その歴史的な位置づけのために、常に混沌としている香港ですが、そこに生きる人たちは留まることなく、たくましく転がり続けるというものです。

 平和で安全で無防備でいられる日本は、恵まれているのだと思いますが、安心していられることが逆に警戒心を強くしているように思います。

 自分の今の地位は絶対に誰にも譲らないぞというように。

 日本も変化することに価値を置き始めていますが、今でも、じっと苔が生えるまで同じところに留まり続けることに価値があり、美しいんだと美化する場合が多々あると感じます。

「謝々!チャイニーズー中国・華南、真夏のトラベリング・バス」



 次に読んだ作品が『謝々!チャイニーズ―中国・華南、真夏のトラベリング・バス』です。

 こちらは、星野博美さんのデビュー作です。

 1993年から94年にかけて、華南への旅をまとめたものです。

 どの中国人も見知らぬ日本人(星野さん)を家に呼び、ご馳走してくれる心のあたたかさに感動しますが、一歩間違えると、自分と家族(仲間)さえよければなんでもいいというなりふり構わない彼らに騙されてしまうという危険もあります(それさえも、生きる知恵でありたくましさなのですが)。

 中国は、家族が中心なので、星野さんが結婚していないことに純粋に疑問をぶつけてきます。

 彼らの原動力は個人の自由ではなく家族にあります。

 自由でいたい星野さんとは、相容れないところかもしれないです。

 しかし、彼らには彼らの生き方があって、自分にも自分の生き方があるというところで折り合いをつけているのだと思います。

 印象に残ったのが、「日本人は自分の国以外のアジアを見下すのに、外国でアジア人を見て、相手が同じ日本人だとわかると、あからさまに嫌悪感をあらわにする。

 それとは正反対に、中国人は、アジア人を見ると中国人だと思って人懐っこく話しかけてくる」という一文です。

 そういうところありますよね。

 外国で日本人に出会ったときの気まずさみたいなもの。

 同じ日本人で言葉も通じるはずなんだけど、相手を確かめないと話しかけてはいけないような気まずさとでもいいましょうか。

 私の推測するに、日本人は、その人個人というより、暗黙のうちに属性が重要になっているのではないかということです。

 そういうところが生きづらさを感じてしまう一つの要因になっているのではないでしょうか。

まとめ

  星野さんの作品で語られる中国は、決して自由ではありませんが、人々は多様性に富んでいると思います。

  どんなチャンスも逃すまいと誰でも利用しようとする人もいるし、逆に、ここで一生を過ごすことが運命なんだと腹を据えている人もいます。

  中国人は自由がないことは、運命のように受け入れている感じですが、日本人の場合は、比較的自由はあるけれども、自由を恐れてどこかに自分を当てはめることによって安心したいという感じではないでしょうか。

  人生は成り行きであれ、選択であれ、どんな人生の在り方も、リスペクトしうまくいくよう応援しているような星野さんの作品が大好きだし、作品に出てくる人々が大好きです。

  崖っぷちな私の原動力なのです。





 

 

 

 

 

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