こんにちは。大好きな「作家の猫」(コロナブックス)シリーズなどを見ていると、いつの時代でも、猫好きは変わらないんだなとほほえましくなります。
昔と現代では、猫を取り巻く環境は、変わってきてはいます。
昔の日本人は、猫を愛していたけれど、今のように過保護にはしていません。
猫を飼うというより、「猫がそこにいる」という表現がぴったりなのではないでしょうか。
私は、そういう猫と人の関係がたまらなく好きです。
今は、SNSなどで飼い猫に関して発信するために、猫のグッズや猫のかわいい姿を紹介したりしますが、昔は、猫のためにグッズを買うなんてことはなかったですし、フードも猫まんまでした。
昔は、キャットフードなんて売っていなかったようです(キャットフードが販売されるようになったのは1960年代になってから)。
猫は魚が好きだと信じられていましたし、ねずみが大好きだと思われていてねずみ退治のために飼われていたりしました。
猫エイズや白血病なんて病気があることも知られていませんでした。
キャットタワーがインテリアの一部になったのも最近のことです。
昔と今で、猫を取り巻く環境がどう変わったのか比べてみましょう。
猫のご飯
キャットフードがお店で販売されるようになったのは、1960年代なので、それまでの猫たちは、自分で、ネズミやカエルや虫などの獲物を捕まえて食べるか、人に猫まんまと呼ばれるご飯をもらっていました。
猫まんまは、ご飯にかつお節をふりかけたものやお味噌汁をぶっかける場合もあったようです。
お味噌汁の出汁が猫の食欲をそそったのかはわかりませんが、今なら、絶対猫にあげてはいけないご飯のような気がします。
「猫は魚が好き」というイメージですが、
海外では猫の獲物はネズミや鳥、ウサギといった小動物のみという認識で、魚好きというイメージがあるのは日本だけのようです。
猫はもともと鳥やネズミなどを狩っていた肉食動物なので、魚のように小さな骨があるものは食べ慣れていません。
また、猫は犬よりも顎が小さく噛む力が弱いため、固い骨を噛み砕くことが苦手です。
なので、魚をあげる場合は、焼いた魚の白身を細かくしてフードの上にトッピングしたり、おやつにあげるのがいいでしょう。
日本で「猫は魚が好き」というイメージが広がったのは、日本人の食生活に拠るところが大きいようです。
※生のマグロを長時間放置していると、食中毒の原因となる「ヒスタミン」が増殖します。ヒスタミンは加熱しても減ることはありません。
ヒスタミンは、人も注意です。
ネズミ退治
猫はネズミを退治してくれる貴重な生き物として、穀物庫や航海に出る船、書物の保管庫、農場などで飼われていました。
アメリカでは、図書館猫も有名です(ただし、有名な図書館猫たちは、ネズミを退治するためというより、マスコット的な存在のようです)。
人に飼われていない猫は、ネズミを食べることがありますが、今は、外にいる猫でも、人からご飯をもらうことが多いので、ネズミを食べることはあまりないのではないでしょうか?
気を付けたいのは、ネズミは色々な寄生虫や病原菌を持っている可能性があるので、ネズミを食べると何らかの病気にかかったり、体調を壊したり、食中毒になったりする可能性があります。
昔は、猫は「ネズミ退治」のために飼われていた場合も多いので、ネズミを食べた猫の健康など考えたりはしなかったのでしょう。
猫エイズなどの病気
猫エイズや猫白血病は、今でこそ、治療法のない不治の病としてよく知られて、猫を飼うときには、必ずと言っていいほど検査をしますが、これらの病気が一般的になったのは、ごくごく最近のことだと思います。
私が、実家で暮らしていた20年ほど前、公園に猫が捨てられていました。
その頃は、猫を飼ったことがなかったのですが、公園で段ボールに入れられ、魚肉ソーセージを与えられたその猫が気になって仕方がありませんでした。
家族と相談して、明日、その猫がまだ公園にいたら連れてきてもいいということになったので、
翌日、まだその猫がいるかを確かめにいきました。
公園につくと、段ボールが処分され、猫の姿が見当たりません。
誰かが連れて行ったのかなと思いつつ、探していると、
いました!
すぐに抱き上げて、がりがりに痩せ、汚れたその猫を家に連れて帰りました。
家に帰ってよく見ると、かなり体は汚れていて、シラミだらけでした。
その頃は、家に猫はおらず、猫に関する知識もなかったので、ただただ夢中で猫の不調に一つずつ対処していったという感じです。
動物病院でシラミ駆除の薬を体に塗られ、それを舐めると、今度は、お腹の中の虫の死骸がお尻から出てくるので、お腹にも虫がいることがわかりました。
ただでさえ、下痢をしていたので、虫下しを飲ませたら、死んでしまうかもしれない。
でも、お腹の中の虫を退治しなければなりません。
意を決して、虫下しを飲ませたところ、虫の死骸がたくさん出てきました。
虫がいなくなってお腹の調子が悪いのが治ったのか、猫じゃらしを振るとじゃれるようになりました。
ミャーミャー鳴くので、ミヤちゃんと名付けられたその猫は、痩せて相変わらずゆるいうんちをしていて、口臭がきつかったのですが、
「猫はこんなもんだろう」と思って、私たち家族は、何も、ほんとうに何も心配せずかわいがっていました。
あるとき、体調を崩して、貧血になり、検査をしたら、「白血病」でした。
ミヤちゃんは、2年しか生きられませんでした。
今だったら、いろいろしてあげられることがあったのかもしれませんが、当時は、それほど情報はなく、検査もしませんでした。
口臭も、ひどい口内炎だったのでしょう。
本猫は、身体的な辛さはあっただろうと思いますが、病院に連れて行かれることもなく、ほんとうに自然な状態で悠々自適に最後まで生きていたし、私たち家族も「猫ってこういうもの」と、かなりのんきでした。
猫エイズについては、興味深い記事がありました。
「猫エイズは、古くて新しい病気である。
獣医学の世界でネコに寄生するエイズウイルスが発見されたのは、1980年代半ば。
アメリカのカリフォルニア州でのことだ。すぐに各国で調査・研究が開始され、続々と同じウイルスが見つかった。
特に陽性率の高かったのが日本とイタリアで、フランスやイギリスがそれに続いた。第一発見国アメリカの陽性率は比較的低く、スイスではごくわずか。スウェーデンではゼロに近かった。
ウイルスの遺伝子研究が進むと、ネコのエイズウイルスは太古の昔からネコ族に感染してきたことがわかった。
では、どうしてこれまで発見が遅れたのか。
エイズウイルスは潜伏期間が長く、感染したネコが発病するまで、約4,5年(1歳で感染すれば、5,6歳)。
昔は外(野良)ネコの平均寿命が4歳ほどだったから、感染しても発病する前に亡くなることが多かった。
世界的にネコの栄養事情がよくなって、外ネコも寿命が伸びてきたのである。
もう一つ理由がある。
先に述べた国ごとの陽性率の差を見ればわかるように、日本やイタリアのように、狭い国土に人間がゴチャゴチャ暮らしている地域は、当然、ネコ族も過密になる。
となれば、テリトリーが無数に重なって、激しいケンカが増加する。
感染源は、ほとんどが咬傷をともなうケンカなのである(オスの陽性率が圧倒的に高い。また、ウイルス自体の力は微弱で、なめただけや交尾の際の精液では感染しない。ネコの胎子は袋に包まれて生まれるために、出産時の母子感染も起こりにくい)。
つまり人間社会に起因する長寿化と過密化がネコエイズ蔓延の背景にある。(監修/日本獣医畜産大学獣医学部 助教授 石田 卓夫)
まとめ
猫ブームなんかなくても、猫がいなければ生きていけないほどの猫好きはいつの時代にもいるのです。
「来世にも猫がいなくては困る」と言ったのは、大佛次郎。
私も、猫がいなくては困る。
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